農作業に欠かせないコンバインの寿命は、およそ10年といわれています。しかし、コンバインの寿命は、使用頻度や環境、メンテナンスの有無によって大きく変わります。
メンテナンスをすることなく使い続けていると、寿命が短くなってしまうことがあるのです。調子よく使用するためのメンテナンスは、コンバインの掃除と整備です。こまめに掃除や整備をすることで、穀粒などのつまりを取り除き、長く使い続けることができます。
このコラムでは、コンバインの掃除の仕方や日頃からおこなう整備の方法をご紹介しています。大切にコンバインを使用するためには必要不可欠となる作業ですので、しっかりおこないましょう。寿命がきたコンバインは、買い替えや買取などの方法がありますので、そちらについても触れていきます。
コンバインの掃除を怠ると、穀粒や藁くずなどの小さなものが溜まっていきます。そのまま使用すると動作不良が起きてしまうこともあることから、こまめに掃除をおこなうことが大切です。ここからは、掃除をするために必要な準備物や装備についてご紹介します。
コンバインの掃除をおこなうために、まずは必要な道具についてご紹介します。また、コンバインの掃除は危険も伴いますので、自分の身を守るために必要な装備についてもあわせて確認していきましょう。
《準備する道具》
ブロワー
強い風を起こし、粉じんを飛ばす送風機です。コンバイン内部に溜まったゴミを、風で吹き飛ばすときに使用します。ブロワーには、電源コードがあるものとバッテリー式のものがあります。
電源コードがあるものは、バッテリー切れになることがなく長時間使用することができます。しかしコンセントや延長ケーブルが必要です。
バッテリー式は、電源のない場所でも使用することができますが、バッテリーの容量によっては長時間使用できなかったり、充電に時間がかかったりしてしまいます。
ブロワーは、大きなホームセンターやネットショップで購入することができます。ブロワーがない場合は、エアダスターでも代用が可能です。エアダスターとは、ノズルから気体を吹き出してホコリを飛ばす道具です。エアブロワーとよばれることもあります。
けがき針
金属に印をつけるために使用する工具です。けがきには、先の尖ったK型と平なN型があります。コンバインの掃除では、部品の間につまったゴミを取り除くために使用するので、先の尖ったK型を使用します。けがきがない場合は、先の尖ったドライバーなどの工具でも代用が可能です。
水まき用ホース
足回りの掃除のときに汚れを流すために使います。水圧が強い方が汚れを落としやすいため、ジェットがでるタイプのものがおすすめです。
《装備するもの》
ヘルメット(なければ帽子でも可能)
頭部と機械が接触した際、ケガをしないために使用します。
防塵マスク
清掃中は、コンバインに溜まったゴミや塵が舞い散ります。それらを吸い込まないために使用します。
保護メガネ
防塵マスクと同じく、コンバインに付着したゴミや塵が目に入らないようにするための装備です。
手袋
コンバインの尖った部分でケガをしないよう、手を保護するために使用します。おすすめは、革製の手袋です。革製の手袋はとても丈夫なため、コンバイン内部の尖った部品に触れてもケガを防ぐことができます。
準備するものがそろったら、いよいよ掃除をはじめます。ここからは具体的な掃除方法に加えて、掃除をはじめる前に、コンバインについて知っておいた方がよいことを確認します。
掃除の前に、まずコンバインの準備をしておいてください。この作業がないと、安全かつ隅々まできれいに掃除をすることはできません。効率よく掃除をおこなうために2つの作業をあらかじめおこなっておきます。
1.エンジンをオフにする
コンバイン清掃中に、スクリュー部分に巻き込まれてしまうといった事故が多く発生しています。それらの原因の多くは、エンジンをオフにせず清掃をおこなったことです。事故防止のために、必ずエンジンはオフにしましょう。誤って動かしてしまうと、ケガや命の危険のおそれがあります。エンジンがしっかり切ってあるのかご確認ください。
2.パーツをすべて外す
コンバインの各種パーツは取り外せます。ネジなどを用いて外す場所もあり、パーツの外し方は、メーカ―や種類によって異なりますので、取扱い説明書を参考におこないましょう。外したパーツは、部分ごとにまとめておくと清掃後の組み立てが楽です。
コンバインの掃除をおこなうのに大切なことは「上から下へ」です。ブロワーを用いて汚れやごみなどつまりの原因となる場所を掃除すると、ごみが上から下へ落ちていきます。そのため下から掃除しても、落ちてくるゴミで汚れてしまいます。「上から下へ」を意識して掃除する順番を心がけましょう。
ブロワーによってごみを落とせたら、次に足回りです。田んぼに面する足回りには、泥や藁がたくさんついています。掃除をするには、奥まで入り込んだ藁や泥をけがき針でほじくり出し、ホースから水を出して洗い流します。
コンバインをより長く使用するには、掃除だけでなく、コンバインの整備も大切となります。日々のメンテナンスにより、いつでも調子よく使用できる状態を保ちましょう。
自分で日頃から整備のできる部位を下記にまとめました。使用のたびにコンバインの状態確認をしましょう。
エンジン部
エンジンオイルの交換・冷却水や不凍液の補充・ラジエーターや燃料フィルタカートリッジの掃除
操作・走行部
クローラの転輪部の掃除・ブレーキがしっかり効くか確認
刈取部
引越し爪が倒れているなどの不具合の確認・刈刃にサビがないか確認
脱穀・排藁部
藁切り刃に破損がないか確認・こぎ胴受けアミに破損はないか、汚れがあれば掃除
このほかにも、不調や劣化などに気がついたときには掃除や部品の交換をおこなうようにしてください。全体的に劣化や故障などが起きたときには、もしかしたら寿命が来ているかもしれません。
整備をしても詰まりや不調が改善しないときは、そろそろコンバインの寿命なのかもしれません。コンバインの耐用年数は、およそ10年といわれています。もし10年近く使用しているのであれば、そろそろ買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。
買い替えをするなら、今のコンバインを買い取ってもらえる業者を探しましょう。コンバインが動かなくなってからでは、買取してもらうことができない、査定金額が低くなるといったことがあります。動作に不調がみられたときには、買い替えも選択肢のひとつとして知っておくとよいかもしれません。
コンバインの寿命はおよそ10年です。しかし使用状況によっては、寿命よりも短くなってしまうことがあります。より長く使用するためにも、定期的な掃除をおこないましょう。
コンバインの掃除をするときには、必ず電源を切ってからおこないます。なぜなら電源を切らずに掃除をおこない、機械に挟まってしまうなどの事故が発生しているからです。また、事故を防止するためにも十分な装備をしてから掃除をはじめましょう。
しかし、コンバインのメンテナンスは、掃除だけでは不十分です。掃除とあわせて、整備もおこなうことが重要となります。メンテナンスをしても不具合が改善しない、同じ場所から何度も不具合が発生するといった場合、そろそろ寿命が近づいているのかもしれません。
そんなときは、買換えを検討してみましょう。買い替えをするときは、今使用しているコンバインを買い取ってもらうことをおすすめします。