お米は春から初夏にかけて田植えをし、秋に収穫。冬は寝かせて、暖かくなったらまた田植え。この繰り返しのおかげで、私たちは美味しいご飯を頂けています。
そんなお米の稲を作るのは、苗と育ててくれる田んぼのおかげです。そんな2つをつなげる行為が「田植え」となります。田植えはその時期になると儀式をするほど、日本人が大切にしている作業です。
そんな田植えの植えかたを効率よくおこなうために、田植え機という機械が誕生しました。今回はこの田植え機が主役です。田植えまでの順序やきれいな苗の植え方。田植え機をうまく使うコツやメンテナンス方法まで。
田植え機についていろいろと情報を載せていきますので、どうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします。
目次
田植えはそれぞれの地域によってズレはあるものの、4月~6月にかけて開始をします。そんな田植えですが、苗を植える前に下準備が必要になります。まずは田植えをするための準備のところから、順を追って説明させていただこうと思います。
代搔き(しろかき)は、田起こしが終わった田んぼのなかの土を砕いてかき混ぜ、田んぼの表面を平にする作業です。
ちなみに田起こしというのは、田んぼの土を細かく砕いてかき混ぜる作業です。どちらの作業もトラクターを使用しますが、田植え機のなかには代搔きもおこなえる機種があります。
田んぼに田植えをするのに苗は必須です。だからといって、ずっと苗を田んぼの近くに置きっぱなしにはできません。苗代に置いてある田んぼの苗は、「代搔き」まで終えて植えるタイミングで運搬してきましょう。
機種によっては「代搔き」までもできますが、田植え機全般でいえば苗まで準備できた状態からが、田植え機の出番です。ここからは、田植え機の正しい使い方について説明させていただきます。
「田植え機というのだから、とりあえず苗をセッティングしておいて…。」ちょっと待ってください。その苗はまだ積み込むには早いですよ。
苗は田植え機が田んぼに到着してから準備していきましょう。田植え機が道路を走っているときに苗もセットしておくと、振動で苗が落ちてしまう可能性があるからです。
田植え機が田んぼに到着したらいよいよ「田植え」です。田植え機の苗をセットし走らせていきましょう。
田植えの植え方ポイントは苗の間隔です。感覚が短すぎると土のなかの栄養素や水分を奪い合う形になってしまいます。また、感覚が開きすぎると今度は植える苗の数が少なくなり効率が悪いです。
感覚を開けすぎるのはもったいないですが、ある程度は間隔を開けたほうが稲の生長によいです。目安は15~20cm感覚で田植えをしていきましょう。
田植え機はそのまま走らせるだけ。つまりは田植え機の扱いは楽勝!と思ったら大間違いになるかもしれません。じつは田植え機の使用に、気を付けなくてはいけないポイントがあります。それはきちんとまっすぐに植えることです。
せっかく苗の間隔を広くとっても、隣の列との感覚が一定でなかったら、栄養素の偏り(かたより)ができてしまいます。そして何気にきちんとまっすぐ植えるのはなかなか難しいのです。
田植え機で苗をまっすぐに植えられない原因とは、なんでしょうか。それは、田んぼに目印がないからなのです。ということはつまり、目印というものがあればまっすぐ植えることができるのです。
では目印はどのように測ればよいのでしょうか。ロープなどを張ったのを目印にして田植え機を動かせばまっすぐひけますが、準備などの効率を考えたら時間がかかってしまいます。
そんなときのために、田植え機のある装置の出番がきます。田植え機には機械の真ん中がわかるように、センターにポールのような目印があります。
あらかじめ田植え機に棒状のものを付けまっすぐの線を引き、その線をセンターのポールがとおるように走らせれば、まっすぐに田植えすることができます。
これでまっすぐ田植えをすることができ、田植え機を使いこなしたことになるでしょう。
田植え機は田んぼの泥のなかをかき分けながら走っています。泥水は乾くと水分がとれて固まり、土となります。そんな土がきっかけで田植え機が故障してしまう可能性も十分考えられるでしょう。
壊れてから後悔してもあとの祭りです。まずは田植え機が壊れることがないように、日ごろのメンテナンスが大事になっていきます。ここからはそんなメンテナンスについて説明させていただきます。
田植え機はその名の通り田植えの時期に使います。逆にいえば、田植え以外の時期は使わず保管されている状態です。つまり、使用後の丁寧なメンテナンスをするかしないかで寿命は大きく変わってくるのです。
●田植え機を長期保管する前に
使用している時期は田んぼに浸かった部分を水洗いする程度でよいでしょう。しかし田植えが終わり長期保存となったときには、細かいメンテナンスが必要です。できるだけ細かいメンテナンスをしようと思ったのであれば、以下の内容の手入れをおこなってください。
・全体を水洗いする
・田植え機の回転部、ワイヤー類などの部分に十分に油をさしておく
・タイヤに負担をかけすぎないために、車輪の下に板を敷いたりジャッキで上げたりするなどをしておく。また車輪には歯止めをしておく
・苗載せ台は地面に降ろしておく
・クラッチやペダル部分にロック機能があるものは、安全のためロック状態にしておく
・二次災害を防ぐためにガソリンが入っている場合はすべて抜いておき、バッテリーはマイナス端子を外す
大事にメンテナンスをしていても、いつかは老朽化で寿命がきてしまうもの。また家庭の事情などで農業を辞めてしまう場合もあると思います。どちらの状況であっても、田植え機の引退の時期がきたことになります。
そんな寿命がきた田植え機の行く末はどうすればよいのでしょうか。まだ使用ができる田植え機は、農機具の中古販売店が買い取ってくれるかもしれません。そして故障して寿命がきてしまった田植え機は、買い取ってもらえずに廃車にするしかないと思われがちです。
しかし、そんなまだ使える農機具はもちろん、故障して使えなくなった田植え機でも買取ってくれるかもしれない業者はあります。それは農機具専門の買取業者です。
現在、日本製の田植え機などの農機具は性能や耐久性の高さから海外で人気です。日本でもう使われなくなったような農機具でも海外では現役まっしぐら。なんてことはよくあります。つまり、古い型の農機具も買い取ってくれます。
老朽化した田植え機も、街の中古販売店より高く買い取ってくれることもあるのです。
また海外で中古の農機具が活躍するということは、修理で農機具のパーツが必要という需要も出てきます。この状況になったら使えなくなった農機具も使えるパーツが必要という場面になり、買取の価値がつきます。
この流れで故障して、使えなくなった田植え機も売却ができるようになるのです。ご家庭で眠っている農機具があるのでしたら、農機具専門の買取業者に一度査定してもらってもよいでしょう。
苗の植え方を手作業でおこなうのはずっと前かがみの作業で、腰痛まっしぐらな作業で大変です。田植えの作業のみを極めた田植え機というのが登場するくらいです。田植えがどれだけ大変で、どれだけ大事な作業なのか、想像できることでしょう。
そんな田植え機は、現在いろいろな種類があります。田起こしや代掻きをしてくれるタイプもあれば、さまざまな機能があるタイプもあります。便利な機械を購入したのであれば、丁寧なメンテナンスをして長く使うようにしていきましょう。
そして寿命がきた場合は一度、農機具の買取専門業者に査定してもらったら、買取で最期を終え、田植え機の大往生が完成するのです。最後の最後まで丁寧に使えるように大切にしてください。