農業にはさまざまな道具が必要です。シャベルやくわ、鎌などの道具は今日まで長い間使用されてきました。しかし今では、日本の農業は高齢化や耕地の増加などで、すべてを手作業で行うのは困難な状況になっています。
そんな農業に勤しむ人たちを力強くサポートし、便利な機能で助けてくれるのが農機具です。農機具にも用途に応じたさまざまな種類があり、どんな状況で使用するかによって使用する農機具も変わってきます。今回はそんな農機具の役割と作業内容に合ったものを選ぶためのポイントを紹介していきます。
ここからは農業でしようされる代表的な農機具について、その役割と導入する際の適切な選び方について解説していきます。
トラクターは広い面積の田畑を耕すために使用する農機具です。くわを使い人力で耕すのは時間がかかり、大変な作業ですが、トラクターを使用して行うことで楽にすばやく耕すことが可能です。肥料を散布する際にも使用されます。また、トラクターはラテン語「引く」という意味で、その名前のとおりに他の農機具を牽引することもできます。
【トラクターの正しい選び方】
まずはどんなことにトラクターを使用するかを考えてみましょう。お米を作る、野菜を作る、それだけでも選び方は変わってきます。もし後々作るものの範囲を広げたいと思っているのならばアタッチメント機能を確認しておき、幅広い拡張性のあるものを選びましょう。
そしてトラクター選びにはもう1つ馬力が大切です。粘土質な土を耕すためには馬力が必要になり、馬力不足だとエンストしてしまう可能性も出てきます。
一般的には25馬力~35馬力のトラクターが多く使用されており、おすすめです。1番ポピュラーな馬力なのでトラクターの種類も豊富で、選択肢が広いのも魅力です。
コンバインはその名の由来であるcombinedの意味そのままに稲や麦の「刈り取り」と「脱穀」の機能を「兼ね備えている」農機具です。稲刈りをするときに使用されます。
【コンバインの正しい選び方】
コンバインを選ぶポイントは何よりも作業スピードや作業効率です。
複数の作業を同時に行うコンバインです、性能の低い安価なものを選んでしまうと作業のスピードが遅い場合があります。大抵のメーカーのサイトに1時間でどれだけの面積刈り取れるか記載されているので参考にしましょう。
コンバインの種類によって1度に刈り取れる面積も違います。3条や4条が普通だった一昔前から最近は5条や6条が基本性能になってきました。農地が大きいのであれば作業スピードがかなり変わってくるのでこだわってみてもよいでしょう。
そしてコンバインに取り付けられている刈り取り用のカッターやベルトは消耗品で、交換が必要になってきます。購入後のメンテナンスのしやすさもコンバインを選ぶ上で気にしたほうがよいかもしれません。
田植機は主に稲の苗を水田に植えるために使用される農機具です。「トラクターを使用するほど広くないけど手作業は大変」という人に使用されています。田植機には歩きながら手で押して使用する「歩行型」と田植機に乗って動かす「乗用型」があります。
【田植機の正しい選び方】
田植機を選ぶポイントの1つに「枕地をどれだけ無くせるか」があります。枕地とは田植機が旋回する際に移動するだけで苗を植えられない部分のことで、その箇所に雑草が生えてしまうために枕地を少なくするために特殊な旋回機能を搭載している田植機もあります。
また、歩行型の場合は重さを大切な選択材料になります。どれだけ高性能でも重くて使いこなせなかったら意味がありません。しっかりと選ぶ際には自分の目で見て、実際に触れることで重さなどを確認しましょう。
耕運機はトラクターと同じ田畑を耕す農機具です。しかしトラクターと比べると小型で誰でも扱えるので田畑だけでなく趣味の家庭菜園でも多く使用されています。
【耕運機の正しい選び方】
耕運機を選ぶポイントは耕す田畑の面積とパワーが釣り合っていているかどうかです。10坪以上で2馬力 30坪以上で4馬力 200坪以上で6馬力以上が目安となっています。そして耕運機を使用する場所によっても選び方が変わってきます。
例えば住宅の庭や屋上にある家庭菜園の場合、大型で馬力が高い耕運機を使用すると騒音や排気ガスで近隣住民から苦情が出てしまうかもしれません。かといって、馬力の低いものだとパワー不足で使用できない可能性もあります。どんな場所で耕す畑の土がどのような状態なのかをしっかりと把握した上で選びましょう。
草刈機はその名前のままに作物の成長を妨害する雑草を刈り取るための農機具です。今まで紹介した他の農機具に比べるとかなり小型で価格も安価です。
【草刈機の正しい選び方】
草刈機には電動式とエンジン式があり、電動式はエンジンがないため軽く扱いやすい点とエンジン式に比べると音が静かという点が長所ですが、パワーがあまり出ないことが欠点です。
騒音を気にしなくてよい場合はエンジン式がオススメです。重量はありますが、パワーもあるので効率的に作業を行えます。そして刃の種類によっても特徴があります。ナイロンカッターは小さく細い雑草を刈ることが得意なので庭のお手入れに最適です。しかし生い茂っている雑草には効果が薄いです。
現在主流になっているチップソーはどんな場所でも問題なく使用できます。刃の大きさには少しずつ違いがあり、それぞれ適している雑草の太さや枝の大きさが違うので1つずつ使用してみると良いでしょう。チップソーから刃の数を減らした金属刃はコストの面で優秀です。上下裏返して使え、研げばまた再利用できるのです。
金属刃は刃の枚数が少なくなるほど広範囲の刈り取りに適していますが、その分反動が大きくなってしまうので注意が必要です。また草刈機にはこの他にもハンドルのタイプや草刈機を背負うのか肩掛けするのかでもさまざまな商品があります。環境や自分の使用感に合ったものを選びましょう。
農機具にはここで紹介した代表的なものの他にも農作業を助けてくれる様々なものがあります。例えば「野菜移植機」は自動で畑に野菜の苗を植えてくれます。そして野菜ごとの「収穫機」はそれぞれの野菜を効率的に収穫していきます。こんな作業を効率的にしたい、こんな農業を新たに始めたいに応じてくれる農機具がきっと見つかるでしょう。
いざ農機具を導入しようと思っても農機具はものによってはとても高価で、すぐには手に入らない場合があります。そんなとき、少しでも安く手に入れるためにはどんな方法があるのでしょうか?
新しい農機具に買い替えた農家の方が今まで使っていたものを売りに出しているかもしれません。そういった中古の農機具は専門の販売店や中古農機具の販売サイトで売られていて、新品で購入するより安く手に入ります。農機具は耐久性が高く中古で購入しても長く使えることが多いので探してみるとよいでしょう。
しかし、新商品の中古は少なく、本体以外のオプションが不足していたり、希望するモデルを入手することが困難であったりするデメリットがあります。また、新品よりも故障や不具合のリスクも高まるのでその点は理解しておきましょう。
中古品を購入される際は、売値の平均を知らないと悪徳な販売業者から高値で購入してしまう危険があるので、中古の農機具を探す際は複数の業者や販売サイトにて商品価格の相場を確認しておくと安心でしょう。
農機具は年に数度しか使用しないので購入を悩んでいる人もいるでしょう。そんなときに便利なのが農機具のレンタルです。レンタルなので故障のリスクや置き場所が必要なく、大きなお金がかかりません。運搬費用が高くなってしまうので近くに業者がある場合活用するのがよいでしょう。
また、トラクターやコンバインなど大型の農機具は需要が少なく取り扱っている業者が少なく、農業を本職とするのであればレンタルだけを使用して営むのは困難となるので、趣味程度でおこないたい方におすすめのサービスです。
いかがだったでしょうか?今回紹介した農機具によって、農業は支えられており、より効率よく作業ができるように日々開発されています。そのため、農機具には作業ごとに特化されたものがあり、その中でもメーカーや価格、機能によってさまざまな種類があります。
導入を検討している方は自分が育てている作物や農地の大きさや性質、コストをよく考えてから選ぶことが重要でしょう。5年10年使用するかもしれないものなので慎重に自分の希望に合ったものを選びましょう。
また、大きな農機具はとても高価です。新品ではなく中古やレンタルから始めてみるのもよいでしょう。